自社株承継の手続
更新日:2023/03/24
贈与や譲渡によって株主に異動が生じる場合には、会社法上、必要な手続が存在します。
目次
ここでは、自社株承継の手続きについて解説します。
1.基本的な手続の流れ
(STEP.1)株式譲渡制限の有無を確認
「株式譲渡制限」とは、株主が他社に自社株を譲り渡す場合には、あらかじめ会社の取締役会または株主総会の承認を受ける必要があるという制限です。この規定があれば会社にとって望ましくない人物が株主になることはありませんので、非上場会社の多くはこの規定を設けています。株式譲渡制限を設けているかどうかは、会社の定款や登記簿謄本(履歴事項全部証明書)で確認できます。
(STEP.2)株式譲渡承認の請求
株式譲渡制限が付いている場合、譲渡者(贈与者)は「株式譲渡承認請求書」を作成し、会社に対して提出します。この請求書には、「譲渡する株式数」、「譲受者(受贈者)の氏名」などを記載します。
もし譲渡制限が付いていなければ、株式譲渡契約と株主名簿の書き換えだけで完了です。
(STEP.3)取締役会または株主総会による承認、通知
譲渡者(贈与者)から提出された「株式譲渡承認請求書」について、会社の株式譲渡承認機関(取締役会または株主総会)が検討します。株式譲渡承認が決議された場合、会社は譲渡者(贈与者)に対し、「承認通知」を発送します。
(STEP.4)株式譲渡契約の締結
譲渡者(贈与者)が会社から株式譲渡承認の通知を受けたら、譲渡者(贈与者)と譲受者(受贈者)の双方の意思を明確にするために株式譲渡契約を締結します。株式譲渡契約書には、「譲渡する株式数」や「対象株式の内容」、売買の場合には「株式譲渡代金」や「支払時期」なども記載します。
(STEP.5)株主名簿の書き換え
譲渡者(贈与者)と譲受者(受贈者)の間で株式譲渡契約が締結されたら、会社に対して「株主名簿の書き換え」を依頼します。まず譲渡者(贈与者)と譲受者(受贈者)が譲渡した株式数を記載した「株主名簿書換請求書」を作成し、これを会社に提出します。その後、会社は自社内で保管されている株主名簿を書き換えます。