相続時精算課税制度について
更新日:2023/03/16
贈与税の計算方法は、暦年課税と相続時精算課税の2つがあります。原則的な方法は暦年課税ですが、一定の要件を満たした場合には相続時精算課税を選択することができます。
目次
【贈与税の計算方法】

ここでは、相続時精算課税制度について解説します。
1.相続時精算課税制度とは
2,500万円までの贈与に対して贈与税を課税しない代わりに、贈与者の相続時に課税を精算するといった制度です。
計算方法
【贈与税(相続時精算贈与)の計算式】

例えば、父が子に対して200万円の現金を贈与した場合、子は受け取った200万円の現金に対して贈与税(9万円)がかかりますが、相続時精算課税制度を選択すると贈与税がかかりません。
ただし、この現金200万円に対する課税が免除されたわけではありません。父の相続発生時において、この現金200万は相続財産として認識され、相続税の課税対象となります。つまり、この現金200万円に対する税金負担を軽減できるということではなく、贈与時にかかるはずの贈与税負担を先送りにして、将来の相続時に相続税としてまとめて納付するといったイメージです。
特別控除(2,500万円)は複数回にわたって利用できる
1年目に1,000万円、2年目に500万円、3年目に800万円の贈与をした場合、合計2,300万の贈与となりますので、2,500万円の範囲内となり、3年間にわたって行われた全ての贈与に対して贈与税がかかりません。ただし、贈与ごとに財産の評価、税務申告が必要になりますので注意が必要です。
特別控除を超えた部分に対して税率20%
贈与した金額が2,500万円を超えると、その超えた部分に対して一律20%の税率で贈与税がかかります。
例えば、ある年に2,000万円を贈与し、翌年に1,000万円を贈与した場合、贈与の合計額が3,000万円となり、特別控除の枠を500万円超えてしまいます。その超えた500万円に対して20%の税率で贈与税が発生しますので、100万円を納付する必要があります。
なお、納付した贈与税は相続時に発生する相続税から控除されます。つまり、贈与者に相続が発生し、相続税が300万円と算出された場合、贈与時に納付した贈与税100万円は相続税から控除されますので、相続時に納付する相続税は200万円となります。
贈与の都度、申告が必要
暦年贈与の場合、毎年110万円の基礎控除の範囲内であれば贈与税申告は不要ですが、相続時精算課税制度を選択した場合には、納税がなかったとしても、贈与を受ける度に贈与税申告をしなければいけません。
相続時精算課税制度の選択後、もし贈与税の申告を忘れてしまうと、2,500万円を超えない贈与であっても贈与税が課されてしまいます。例えば、相続時精算課税制度を選択した1年目に2,000万円の贈与を受け、翌年に300万円の贈与を受けたとしましょう。300万円の贈与について申告を忘れてしまった場合、20%の贈与税がかかるので60万円の納付が必要となります。