予約のみ|平日 9:30〜17:00

顧問税理士から「御社の株式は純資産価額方式で評価します」と言われても、具体的にどのような方法なのかわからない方も多いのではないでしょうか。
純資産価額方式とは、会社が保有する資産や負債を相続税評価額に置き換え、非上場株式の価額を算出する方法です。自社株の相続や贈与を検討する際は、仕組みや計算方法を理解しておくことが重要です。
本記事では、大手税理士法人で数多くの事業承継に携わってきた税理士の監修のもと、純資産価額方式の仕組みや計算方法を4つのステップでわかりやすく解説します。
類似業種比準方式との違いや評価時の注意点、自社株の評価額を確認する方法も紹介するので、事業承継や相続・贈与に向けて自社株の価値を把握したい方は、ぜひ参考にしてください。
株価・相続税を試算する(無料・5分)
純資産価額方式とは?会社を解散したときの株主の取り分で評価する方法
純資産価額方式とは、非上場株式(取引相場のない株式)の相続税評価に使われる方法のひとつです。ここでは、その基本を3つに分けて解説します。
- 純資産価額方式の基本的な考え方
- 帳簿価額ではなく「相続税評価額」で計算する点
- どんな会社に使われるか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
純資産価額方式の基本的な考え方は「会社の純資産」
純資産価額方式とは、会社が保有する資産を相続税評価額に評価し直し、そこから負債などを差し引いて、非上場株式の価額を算出する方法です。
イメージとしては、「仮に会社を清算した場合、株主にどれだけの財産が残るか」という考え方に近いといえます。
会社が保有する土地や建物、有価証券などの資産を評価し、そこから借入金などの負債を差し引きます。さらに、帳簿価額と相続税評価額との差額に対する法人税額等相当額を控除し、残った金額を発行済株式数で割ることで、1株あたりの純資産価額を算出します。
帳簿価額ではなく「相続税評価額」で計算する
純資産価額方式では、貸借対照表(BS)に記載された帳簿価額をそのまま使うわけではありません。原則として、課税時期における相続税評価額に評価し直して計算します。
たとえば、土地は帳簿価額と相続税評価額に大きな差が生じることがあります。取得時より土地の価値が上昇していれば、帳簿上には表れていない含み益が株価に反映される可能性があります。
そのため、長年保有している不動産や有価証券などに多額の含み益がある会社では、純資産価額が高くなる傾向があります。
純資産価額方式が使われるのは主に小会社・特定会社
非上場株式の原則的評価方式では、会社を大会社・中会社・小会社に区分し、会社規模に応じて評価方法を決定します。
純資産価額方式が用いられる主なケースは、次のとおりです。
- 小会社:原則として純資産価額方式で評価する(類似業種比準価額と純資産価額を一定割合で組み合わせて評価する併用方式も選択可)
- 中会社:類似業種比準価額と純資産価額を一定割合で組み合わせて評価する
- 特定の評価会社:土地保有特定会社や株式等保有特定会社、開業後3年未満の会社などは、原則として純資産価額方式を用いる
なお、大会社・中会社・小会社という区分は、財産評価基本通達にもとづく非上場株式の評価上の区分です。会社法上の「大会社」や、中小企業基本法における中小企業の区分とは異なります。
純資産価額方式の計算方法を4ステップでわかりやすく
純資産価額方式では、会社の資産・負債を相続税評価額に置き換え、評価差額に対する法人税額等相当額を控除して1株あたりの評価額を算出します。
計算の流れは、次の4ステップです。
- 相続税評価額による純資産を算出する
会社の資産を相続税評価額に置き換え、そこから課税時期における負債を差し引いて純資産を求めます。 - 評価差額から法人税額等相当額を算出する
相続税評価額による純資産と帳簿価額による純資産の差額を求めます。評価差額がプラスの場合は、その差額に一定の割合を乗じて法人税額等相当額を算出します。 - 純資産から法人税額等相当額を控除する
Step1で求めた純資産から、Step2で算出した法人税額等相当額を差し引きます。 - 1株あたりの純資産価額を算出する
控除後の純資産を発行済株式数から自己株式数を除いた株式数で割ります。
以上が、純資産価額方式の基本的な計算方法です。
以下では、計算する際に押さえておきたい法人税額等相当額の割合や、具体的な計算例について詳しく解説します。
評価差額に対する法人税額等相当額の割合は38%
評価差額に対する法人税額等相当額の割合は、相続や贈与が行われる時期によって異なります。
2026年4月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した株式については、次の割合が適用されます。
- 2026年4月1日以後:38%
- 2026年3月31日以前:37%
38%への変更は、防衛特別法人税の創設などを踏まえた財産評価基本通達の改正によるものです。そのため、2026年4月1日以後の評価では、原則として「評価差額×38%」で法人税額等相当額を計算します。
なお、この割合は税制改正などに伴って変更されることがあります。過去の情報では37%やそれ以前の割合が記載されている場合もあるため、評価する時点で適用される割合を確認することが重要です。
計算例で見る1株あたりの純資産価額
ここでは、純資産価額方式の計算方法を具体的な数字で確認してみましょう。
以下の会社を例に計算します。
- 相続税評価額による総資産:4億円
- 相続税評価額による総負債:1億円
- 帳簿価額による純資産:2億円
- 発行済株式数:5万株
- 法人税額等相当額の割合:38%
まず、相続税評価額による純資産を計算します。
- 4億円-1億円=3億円
次に、相続税評価額による純資産と帳簿価額による純資産の差額を求めます。
- 3億円-2億円=1億円
この1億円に38%を乗じると、法人税額等相当額は3,800万円です。
- 1億円×38%=3,800万円
相続税評価額による純資産3億円から3,800万円を控除すると、2億6,200万円となります。
- 3億円-3,800万円=2億6,200万円
最後に、2億6,200万円を5万株で割ります。
- 2億6,200万円÷5万株=5,240円
したがって、この例における1株あたりの純資産価額は5,240円です。
ただし、実際の株価評価では、土地や建物、有価証券などの資産を個別に評価する必要があります。帳簿上の数字だけでは計算できないため、正確な評価には専門的な知識が求められます。
同族株主等の議決権割合が50%以下なら純資産価額の80%で評価できる場合がある
純資産価額を用いて評価する場合、株式取得者の属する同族株主等が保有する議決権の合計が50%以下の場合、1株あたりの純資産価額に80%を乗じた金額を用います。
たとえば、通常の純資産価額が1株5,000円の場合、80%を乗じた4,000円を純資産価額として計算に用いるケースがあります。
- 5,000円×80%=4,000円
ただし、80%評価を適用できるかどうかは、株主区分や議決権割合などによって異なります。「議決権割合が50%以下なら必ず20%減額できる」というわけではないため、注意が必要です。
なお、純資産価額方式による自社株評価では、資産ごとの評価や株主区分の判定などが必要になるため、手計算では複雑になりがちです。
「自社株が現在いくらなのかを知りたい」という方は、無料・5分で利用できる株価試算ツールで、まずはおおよその評価額を確認してみてください。
株価・相続税を試算する(無料・5分)
純資産価額方式で注意したい3つのポイント
純資産価額方式で自社株を評価する際は、計算方法だけでなく、評価上のルールや株価が高くなりやすいケースも押さえておくことが大切です。
特に注意したいのは、次の3点です。
- 純資産価額がマイナスの場合は0円として評価する
- 課税時期前3年以内に取得した土地・建物は通常の取引価額で評価する
- 含み益や内部留保が多い会社は株価が高くなりやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
純資産価額がマイナスの場合は0円として評価する
資産から負債などを差し引いた結果、1株あたりの純資産価額がマイナスになる場合は、0円として評価します。株式の評価額がマイナスになることはありません。
なお、純資産価額が0円だからといって、必ずしも会社そのものに価値がないという意味ではありません。あくまで、相続税・贈与税における非上場株式の評価上の取り扱いです。
課税時期前3年以内に取得した土地・建物は通常の取引価額で評価する
純資産価額方式では、原則として会社の資産を相続税評価額に置き換えます。ただし、課税時期前3年以内に取得または新築した土地や建物については、課税時期における通常の取引価額で評価します。
通常の土地であれば、路線価方式や倍率方式などを用いて評価します。しかし、3年以内に取得した土地などには、この評価方法をそのまま適用できません。
そのため、「会社で不動産を購入すれば、すぐに自社株の評価額を下げられる」とは限らない点に注意が必要です。
なお、通常の取引価額は必ずしも取得価額と同額になるわけではありません。実務では、取得価額を参考にしながら課税時期の時価を判断するケースもあります。
含み益や内部留保が多い会社は株価が高くなりやすい
純資産価額方式では、会社が蓄積してきた純資産や、土地・有価証券などの含み益が株価に反映されます。
そのため、長年にわたって利益を蓄積してきた会社や、取得時より価値が上昇した不動産などを保有する会社では、株価が高くなる傾向があります。
業績が安定している会社でも、いざ事業承継を進めようとした段階で、自社株の評価額が想定以上に高いことが判明するケースもあります。株価が高ければ、後継者への相続や贈与に伴う税負担も大きくなる可能性があります。
そのため、事業承継を検討している場合は、早い段階で現在の株価を把握し、必要な対策を検討することが重要です。
純資産価額方式と類似業種比準方式はどちらが有利か
非上場株式の原則的評価方式には、純資産価額方式のほかに類似業種比準方式があります。
どちらの方式を使うかは、会社規模などによって決まります。また、中会社では両方を組み合わせて評価するため、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。
ここでは、2つの方式の違いや評価額の傾向、会社規模ごとの評価方法について解説します。
純資産価額方式と類似業種比準方式の違い
純資産価額方式と類似業種比準方式では、株価を算出する考え方が大きく異なります。
主な違いは、次のとおりです。
項目 | 純資産価額方式 | 類似業種比準方式 |
|---|---|---|
評価の考え方 | 会社の資産・負債をもとに評価 | 類似する業種の上場会社の株価などをもとに評価 |
主に反映される要素 | 資産・負債、資産の含み益など | 配当、利益、純資産など |
主に用いられる会社 | 小会社、特定の評価会社など | 大会社など |
評価額の傾向 | 純資産や含み益が多いと高くなりやすい | 純資産価額方式より低くなるケースがある |
純資産価額方式は、会社が保有する資産と負債を相続税評価額などに置き換え、その純資産をもとに株価を算出します。
一方、類似業種比準方式では、評価する会社と事業内容が類似する上場会社の株価を基礎として、配当・利益・純資産の3つの要素を比較して株価を算出します。
そのため、資産を多く蓄積している会社と利益を多く計上している会社では、同じ会社規模でもそれぞれの方式による評価額に差が生じることがあります。
類似業種比準方式のほうが評価額が低くなるケースが多い
一般的には、類似業種比準方式による評価額のほうが、純資産価額方式より低くなるケースが多いとされています。
純資産価額方式では、会社が長年蓄積してきた純資産や不動産などの含み益が評価額に反映されます。そのため、内部留保や含み益が大きい会社では、純資産価額方式による評価額が高くなることがあります。
ただし、必ず類似業種比準方式のほうが有利になるわけではありません。会社の利益や配当、保有資産などによって評価結果は変わるため、実際の金額を比較して判断することが重要です。
中会社では、原則として2つの方式を組み合わせて評価する
中会社では、類似業種比準価額と純資産価額を一定の割合で組み合わせる「併用方式」で評価します。
会社規模ごとの割合は、次のとおりです。
- 中会社の大:類似業種比準価額90%+純資産価額10%
- 中会社の中:類似業種比準価額75%+純資産価額25%
- 中会社の小:類似業種比準価額60%+純資産価額40%
このように、会社規模が大きくなるほど類似業種比準価額を反映する割合が高くなります。
自社が大会社・中会社・小会社のどの区分に該当するかによって評価方法が変わるため、まずは会社規模を正しく判定することが重要です。
自社株の評価額は無料・5分で試算できる
純資産価額方式の仕組みを理解しても、「自社株が実際にいくらになるのか」は、会社の数字を当てはめて計算しなければわかりません。
資産を1つずつ相続税評価額へ洗い替える作業や、会社規模の判定、控除率の適用など、専門的な工程も多いため、手計算で正確に出すのは容易ではありません。
「かんたん株価試算」なら、決算書や法人税申告書をもとに必要な情報を入力することで、自社株の評価額を無料・5分で試算できます。
試算では、主に次の内容を確認できます。
- 現在の株価と計算根拠
- 相続税額や税率の目安
- 株価や相続税に関するアドバイス
簡易的な登録で、どなたでもご利用できます。まずは自社株が現在どのくらいの評価額になるのか把握したい方にもおすすめです。
早めに株価を把握することで事業承継の選択肢が広がる
自社株の評価額は、会社の利益や純資産、保有資産などによって変動します。そのため、事業承継の直前になって初めて計算すると、想定以上に株価が高くなっていることもあります。
実際に「かんたん株価試算」が支援したケースでは、事業承継を先送りしている間に評価方法が変わり、株価が5,600万円から1億6,300万円まで上昇しました。その結果、相続税額も約3,200万円増える試算となりました。
非上場株式の評価では、配当・利益・純資産の状況によって通常とは異なる評価方法が適用され、株価が大きく変わる場合があります。
株価を早めに把握しておけば、今後どのように推移する可能性があるのかを確認したうえで、株式を移転する時期や方法を検討できます。事業承継を具体的に考え始める前から、定期的に株価を確認しておくことが大切です。
試算に必要な書類
「かんたん株価試算」を利用する際は、次の書類を用意しておくとスムーズです。
- 最新の決算書1期分
- 法人税申告書2期分
- 2期連続で赤字の場合は法人税申告書3期分
発行済株式数や株主構成などは、法人税申告書の「別表二(同族会社等の判定に関する明細書)」で確認できます。
必要な書類がそろっていれば、無料・5分で自社株の評価額を試算できます。事業承継や相続に向けて、まずは現在の株価を確認してみてください。
株価・相続税を試算する(無料・5分)
まとめ|純資産価額方式を理解したら、まず自社株を試算しよう
純資産価額方式は、会社が保有する資産や負債を相続税評価上の価額に置き換え、純資産をもとに自社株を評価する方法です。主に小会社や特定の評価会社などで用いられ、内部留保や不動産などの含み益が大きい会社では、株価が高くなることがあります。
一方、非上場株式には類似業種比準方式などの評価方法もあり、実際にどの方法で評価するかは会社規模や会社の状況によって異なります。自社株の評価には複数の要素が関係するため、決算書を見ただけで正確な株価を判断することは簡単ではありません。
事業承継や相続を検討するうえで、現在の自社株がいくらなのかを把握することは重要な第一歩です。早めに株価を確認しておけば、将来の税負担を見据えながら、株式を移転する時期や方法を検討しやすくなります。
「かんたん株価試算」では、自社株の評価額を無料・5分で試算できます。まずは現在の株価を確認し、具体的な事業承継や相続対策を検討したい場合は、初回30分無料のオンライン相談もご活用ください。
株価・相続税を試算する(無料・5分)
お電話でのご相談:0120-103-301(予約のみ|受付:平日9:30〜17:00)
なお、本記事は一般的な税務上の取り扱いを解説したものであり、個別の株価や税額を確定するものではありません。具体的な評価や税務上の取り扱いについては、税理士にご相談ください。

著者
清水敦也JIDAIOコンサルティング株式会社 代表取締役
- 税理士(登録番号:138213)
- M&Aシニアエキスパート
相続・事業承継、非上場株式の評価、M&Aに関する相談に対応する税理士。経営者が自社株の価値を知り、次の一歩を判断できるよう、複雑な制度を実務の視点から分かりやすく解説します。
関連記事
事業承継の無料相談
初回30分無料 / 2回目以降5,000円(30分)
事業承継が強みな専門家が、あなたに寄り添って支援します。オンラインで無料相談を実施中。お気軽にご相談ください。
お電話での相談予約
0120-103-301
受付時間:平日 9:30〜17:00